代表・三浦 meets 絶滅危惧種「ガシャモク」
~故郷・木造町でSDGsを考える~

代表・三浦 meets 絶滅危惧種「ガシャモク」
~故郷・木造町でSDGsを考える~

我がふるさと・青森県つがる市(旧・木造町)

噂の木造駅

青森県つがる市木造(旧・木造町)は、中学校卒業まで過ごした私の故郷です。最近では、2021年に縄文遺跡群が世界文化遺産に認定され話題になりました。

『木造町史(旧・木造町役場発行)』によると、「その源を秀麗な岩木山系に発し、目屋渓谷を辿り、(中略)津軽平野の中央部を貫通して一路北へ向かって流れる岩木川。やがてその水は十三湖を経て日本海へそそぐ。木造町はこの津軽平野の母なる岩木川のほぼ中央部下流の西岸に展開している町である。」と記述されています。岩木川の源流は白神山地にもあり、広い意味でとらえると、木造町も白神の恩恵を受けて発展した町ということになるのでしょうか。

木造町の西側・屏風山地方には、数多くの湖沼が存在しています。天然の沼もあれば、人間の経済活動として土砂を採掘し、その結果湧き水が溜まって人工湖になったような場所もあります。

その中の名も無き沼の一つから、2017年に環境省が定める絶滅危惧ⅠA類に指定された水生植物「ガシャモク」の生育が確認されました。「絶滅危惧ⅠA類」~つまり、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの〜 という種です。

弊社のコラボ弘大オフィスのお隣が「白神自然環境研究センター」で、山岸洋貴准教授によると「ガシャモクはきれいな水環境でないと育たない水草です。生育確認は北九州市に続いて2例目です。」とのお話。わが故郷といえば、木造新田で採れる米やスイカ・メロンの農作物。付随的に「農薬」のイメージが私の脳裏に付きまとっていました。最近では、産業廃棄物の処分場や、巨大な発電用風車もかなり増えてきています。

「そんな我が故郷に、ガシャモクが生育できるような豊かな自然環境が?」正直なところ、私は疑いに似た気持ちを覚えました。

絶滅危惧ⅠA類に指定される水草「ガシャモク」

木造高校の生徒さん達との関わりを通じて

4年ほど前、山岸先生が「青森県立木造高校の生徒さんたちが、ガシャモクの栽培実験など、保全育成活動をしてくれています」と教えてくださりました。木造高校といえば、私の父の母校でもあり、勝手にご縁を感じ、少しですが私も関わらせていただくことになりました。

町の交流センターで開催された弘前大学主催のセミナーに参加したり、木造高校の生育活動を見学したり、生徒さんとSDGsについて一緒に考えてみたり。先日は、実際にボートで沼に入り、自生するガシャモクを目の当たりにしました。

高校生たちと実際にコミュニケーションをとってみると、実に様々な考え方があるものだと感心させられます。環境問題、生態系のバランス崩壊、人口減少する地方、、、色んな観点からの問題が浮かび上がります。若い頃からSDGsを意識できるのは大変貴重で有意義な機会だと感じます。

「人間と自然の共存」とは? ~山岸洋貴准教授との対話より~

山岸洋貴先生(写真左)

三浦: 貴重な経験をさせていただきありがとうございます。白神の森乳酸菌プロジェクトも、「ヒトと自然の共存」をスローガンに掲げていますが、そんな簡単なことではないと痛感しています。

山岸: ガシャモクなどの水草にとってすれば、まず「沼そのものが存続するか?」が生き抜いていく上でとても大事なことであり、次に「水質」という問題があります。生きるためには様々な要因が絡み合うのですが、木造の沼々はガシャモクはじめ実に多様な水草が生息していて興味深い場所なのです。

三浦: そうなんですね。私はこれまで化粧品や健康食品を通じて、地域ブランディングを行ってきましたが、毎回「地元に住む人間が、地元の財産の価値を認識しづらい」というパラドクスにぶつかります。普段当たり前のように暮らしていると、分かりづらくなっちゃうんですよね。私自身、故郷の沼がそんな興味深い場所とは初めて知りました。

山岸: やはり地方の財産は、その地方に住む方々が元気でないと管理/保全活動を継続していくことも難しいと思っています。その地方に住む方々に知っていただき、「よし、やるぞ!」と積極的に関わってほしいと願っています。

三浦: 同感です。私の目標、「地場産業の創成」もそこに繋がります。やはり、地方が元気で、その地方ならではの取り組みを行っていかないと、疲弊の一途を辿っていく気がしてなりません。

山岸: 自然を守るということは、放っておくことではないと考えています。まず、「自然が今どういう状況なのか?」「絶滅危惧種ガシャモクというフラッグシップを通じて何が見えてくるのか?」、そして「人が自然と共存する理想像はどんな姿なのか?」を考えないといけないのではないかと思います。

三浦: 青森は白神山地をはじめ、自然に恵まれた土地です。私は県内外の企業様に白神の森乳酸菌プロジェクトに関わっていただき、山岸先生の仰る「人が自然と共存する理想像」を一緒に探っていただけるよう、引き続き努力したいと思います。

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