RESEARCH RESULT
研究の成果(分離)
SEPARATION
白神山地に可能性を見出した、
自然植物由来乳酸菌の分離
伝統的な手法にヒントを得た、乳酸菌の発見・分離
乳酸菌は通常、嫌気性で、その多くがヒトや動物の腸内に生息しているため、自然植物からの乳酸菌の発見・分離は大変難しいとされています。この難題に殿内教授が挑むきっかけの一つとなったのは、ある論文から、樹木の枝を切って牛乳に浸し一晩置くという北欧の伝統的なヨーグルト製造法を知ったことでした。これが示すのは、枝葉に乳酸菌が存在しているという事実。北欧の風土に似て豊かな森が残されている白神山地に大きな可能性を見出した教授は、この伝統的な手法をもとに試行錯誤を重ね、森の象徴であるブナをはじめとする様々な樹木の枝葉、木の実などを採取してはスクリーニングを繰り返す日々。ついにはその努力が結実し、300を超える試料の中からほんのわずかばかり、自然植物由来乳酸菌を発見・分離することに成功したのです。
採取した試料に乳酸菌が生息しているか研究室で試験。基質に接種しpHが低下することとヨーグルトのように固まることを指標としてスクリーニング。
こうして分離・培養に成功したのは、チーズやバターの製造に用いられる「ラクトコッカス・ラクティス」種の乳酸菌。楕円形の菌体がつながった連鎖球菌だ。
分離した乳酸菌は、真空状態のガラス製アンプル内で保存する。アンプルの真空度は、テスラコイルを用いて外から放電させることにより確認する。