SHIRAKAMI – SANCHI

白神山地とは

FLORA AND FAUNA OF SHIRAKAMI

日本固有種であるブナを中心とした
森林生態系の博物館

植物多雪環境に適応した変種から、北国には珍しい植生まで

冬の間、日本海からの湿った空気がたくさんの雪を落とす白神山地は、ブナを主体として積雪に強い植物が多く見られます。中でも春の訪れを告げるマルバマンサクは、主に太平洋側に分布するマンサクが日本海側の気候に適応した変種。ヒメアオキ、エゾユズリハ、ハイイヌガヤ、オオバクロモジなども多雪環境に適応した植物です。

また垂直方向に見ると、山腹から山頂付近まではブナやミズナラなどが中心の落葉広葉樹林が広く分布する山地帯ですが、その上には、低標高にもかかわらず高山帯に似た植生を持つ偽高山帯が存在することも白神山地の特徴。そこでは氷河期からの遺存種であるアオモリマンテマなど地域を代表する種も生育しています。

一方で暖かい対馬海流の影響が強い西側の海岸沿いでは雪解けも早く、ツバキの群落や、照葉樹のタブノキなど北国には珍しい植生も見られ、広大な白神山地には500種以上の多種多様な植物が生育しています。

動物種数、個体数ともに極めて豊富な動物たちが暮らす

白神山地には、クマゲラやイヌワシ、クマタカをはじめとする希少な種を含む94種の鳥類、ツキノワグマや特別天然記念物のニホンカモシカをはじめとする14種の中大型哺乳類が生息。渓流にはイワナやアユなどの魚類が生息し、また地滑りによって形成された小さな沼には春から初夏にかけてクロサンショウウオやモリアオガエルが産卵のために集まる姿も見られます。

広大な森の中には3000種を超えるの昆虫類が暮らし、春にはヒメギフチョウやスギタニルリシジミなど早春の蝶たちや、白神山地の厳しい冬を成虫のまま乗り越えたタテハチョウらの舞う姿。また植物同様、雪解けの早い海岸沿いでは南方系の昆虫が見られることも。そして、森の生態系を支える「縁の下の力持ち」と言える微生物ともなれば、計り知れない数が生息していることでしょう。

世界自然遺産という響きから、ここでしか見られない貴重な生物がいると思われがちですが、地理的な隔離が起きていない白神山地には実は固有種というものはほぼ存在しません。白神山地の貴重さは、かつて日本に普遍的にあったブナ林を中心とする動植物の豊かな生態系が現在も手付かずに近い状態で残っているということにあります。

■白神山地の成り立ちアニメーション

おふたりに白神山地のコト
教えていただきました

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