自然にふれて自ら調べる力を。~大鰐町のキャンプ場でバイオブリッツ開催~
弘前大学農学生命科学部白神自然環境研究センター 教授 中村剛之


令和8年6月20日、21日の両日、4度目となる「白神 BioBlitz」が青森県大鰐町の“あじゃらの森キャンプ場”周辺を会場に開催されました。BioBlitz (バイオブリッツ)はアメリカ発祥の活動で、動植物の専門家と市民が限られた時間と場所でどれだけの動植物を記録できるかに挑戦する市民参加型生物多様性調査イベントです。
会場は少し前までスキー場として利用されていた草地とその周辺の森林です。青森県のみならず日本各地から170人を超える参加者が集い、この場所で24時間の調査に取り組みました。
国立科学博物館の太田藍乃先生、元千葉県立中央博物館の古木達郎先生、元秋田県立博物館の梅津一史先生、元愛媛大学博物館の小西和彦先生、弘前大学の教員、学生の他、津軽植物の会、津軽昆虫同好会、白神キノコの会、コウモリの保護を考える会などの方々が専門家スタッフとして参加しています。
開会式には大鰐町の山田年伸町長にご挨拶をいただいたほか、大鰐町のゆるキャラ“モヤッピー”も駆けつけてくれました。
調査方法や注意事項の説明の後、参加者はそれぞれの関心に合わせて、植物、昆虫、きのこなどのグループに分かれて、草地や森林、沢など多様な環境で生き物探しを行いました。
専門家の指導を受けながら生き物と触れあえる貴重な機会です。子供達に人気があったのは、調査地を流れる小さな沢での水生生物の探索。カワゲラ、カゲロウの幼虫や小さなゲンゴロウなどの水生昆虫やキタオウシュウサンショウウオなどが確認されました。24時間行われるイベントのため、夜間にもナイトウォークやライトトラップ(明かりで虫を集める)などの活動が行われました。成果は芳しいものではありませんでしたが、コウモリやネズミを捕獲する各種トラップの設置やトレイルカメラでの中–大型獣の撮影にもチャレンジしました。朝は日の出の直後から探鳥会(バードウオッチング)が行われました。



野外での活動のほか、採集したり、名前がわからなかったりした生き物は屋内に持ち帰り、その場で観察や標本の作成、名前調べを行い、記録しました。
好天の中で始まったBioBlitzでしたが、2日目の午前中には天候が悪化し、残念ながら予定を早めて調査を打ち切ることになりました。それでも、多くの参加者の協力で、イベントの終了までに800種を超える動植物が確認されました。より詳しく調べる必要があるため専門家が持ち帰った昆虫などがあるため、実際にはもう少し多くの種が記録されることでしょう。
このイベントは白神の森基金から助成を受けています。この助成によって年度内にはイベントで確認できた動植物のリストをまとめたBioBlitzの報告書が出版される予定です。白神BioBlitzは来年度以降も会場を変えて実施されます。多くの方に参加していただき、身近な自然の奥深さや、自分の手で自然を探究する楽しみを感じてもらえたらありがたいと思います。
中村 剛之

国立大学法人弘前大学
農学生命科学部
白神自然環境研究センター
中村 剛之 教授
