代表・三浦、恩師の記憶とともに、
ヒトと自然の共存を考える

代表・三浦、恩師の記憶とともに、
ヒトと自然の共存を考える

はじまりは、ある一人の女性からの言葉

このプロジェクトは、当時青森県庁自然保護課に勤務されていたある一人の女性の発案からスタートした。
「三浦さん、ご相談です。白神山地のために、魅力的な商品をコスメで作っていただけませんか?」
私は不思議に思った。(商工担当課から話が来るならわかるが、なぜ自然保護課から?)

「白神山地はご存じの通り1993年ユネスコにより世界自然遺産に認定されました。でも、人間の手があまりにも介されないと、逆に自然は荒れてしまうのです。少子高齢化が進んだ今、だんだんと人の手による自然への介入が減り、自然が荒れてきています。程よく観光客に来ていただいて、人と自然が共存できるようにしたいし“また再び白神山地に来たい”と思っていただけるような商品があれば、素敵だと思ったのです」

私は彼女の言うことを理解し、弘前大学農学生命科学部・殿内暁夫教授の研究室に向かった。すると殿内先生の方から「三浦さんの会社で、乳酸菌をやらないか?」と。これが『白神の森乳酸菌』との出会いであった。

青森銀行が創立50周年を記念して刊行した白神山地の記録集。

恩師が生前に残した一節

『白神の森乳酸菌』の企画開発がようやく形を見せ始めた昨年2021年、高校時代の恩師が亡くなられた。山を愛し、蝶を愛し、学ぶ心をいつまでも愛した先生だった。ある日、古本屋で恩師が生前に残された文章に出会った。「虫を支える森、森を支える虫」。一節を紹介する。

<白神山地はブナが林の代表とされているが、じつはブナ以外の植物も多数混じった複雑な森である。そのため、そこにすむ虫の種類も非常に多い。現在報告されているのは2000種以上ある。さらに、多様な環境が昆虫の種類を広げている。現在も次々と新しい種が見つかっているので、1万種くらいの昆虫がすんでいるかもしれない>

師は、白神山地にすむ動植物が、互いに生命の営みを活用しながら生活を支え合っていることを教えてくれている。そして文章は最後「白神山地にはあるがままの豊かな自然がいまも息づいている。」と締めくくられた。

紅葉のブナ林は美しく空気も澄んでいた。

もっと白神山地を知りたいと思う

私も遅ればせながら、今年に入り何度か白神山地を歩くようになった。ふかふかの腐葉土の上を踏みしめながら歩く自分の足音と共に、風の通り抜ける音、鳥のさえずり、「キキキキッ」木々の上の方から猿だろうか? はしゃいでいる声が聞こえてくる。時折、カエデの落ち葉から甘いにおいが漂ってくる。水の流れがキラキラと輝いている。紅葉もとにかく美しい。もちろん良いことばかりではない。無造作に捨てられているゴミを見ると、それを拾いながら人間の未熟さを覚える。今年夏の豪雨の爪痕は、崖が崩れむき出しとなった岩肌として今でも多数残る。水は本当に怖いものだと思いつつ、突発的に雨が降ると緊張感が走る。夜は真っ暗だ。そんな闇の中で、夜光性のキノコがうすぼんやり光る。亡き師の言う通り、白神山地にはあるがままの豊かな自然がいまも息づいていた。

私は、もっと白神山地を知りたいと思うようになった。そして一体何が、どういう状態が「ヒトと自然の共存」のあるべき姿なのか? ヒトはどのように関わればいいのか? 自分には何ができるのか? (先生、これから答えを探していきます) —2022年秋、津軽峠にて思いふけったのだった。

皆さんも私たちと一緒に、ヒトと自然の共存について考えていきませんか?

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